不動産に関わる岡山の市況
日銀岡山支店は、7月1日最近の管内金融経済月報をまとめた。
岡山は企業の業況感の改善を踏まえて「緩やかな回復を続けている」との景気判断を21カ月連続で据え置いた。
個人消費は「増加している」から「増加ペースが鈍化している」に引き下げた。下方修正は2022年2月以来29カ月ぶり。
物価高に伴う節約意識の高まりが背景にあり、スーパーなどでは日用品の買い上げ点数の減少や、低価格商品にシフトする動きが見られた。
家電販売もパソコンやテレビを中心に弱めの動きが続く。
一方、主要観光地への入り込みは好調で、夏休みシーズンに向けて宿泊予約が入っている。
乗用車販売は、ダイハツ工業の出荷停止の影響が落ち着き、持ち直している。
主要製造業の生産は「持ち直している」との判断を据え置いた。自動車などの輸送用機械や鉄鋼が回復し、電気機械は在庫調整が進んで下げ止まっている。化学は海外経済の減速を受けて弱めの動き。
設備投資は、能力増強や脱炭素化、省人化に向けた取り組みが進み増加。公共投資も緩やかに増加している。住宅投資は弱めの動き。労働需給は引き締まっており、雇用者所得は緩やかに改善している。
日銀岡山支店の広瀬敬久支店長は「(新型コロナウイルス禍で抑制されてきた需要が回復する)ペントアップ需要の一部が一巡し始めているほか、物価の継続的な上昇から消費行動が慎重になっている印象を受けている」と指摘。その上で、「個人消費が腰折れしているとは考えていない。岡山県内の企業には設備投資の意欲を維持し、買い手のニーズを引き出すような商品やサービスの開発、提供を続けてもらいたい」と述べた。
広島、高松国税局が7月1日公表した2024年分の路線価は、新型コロナウイルス禍で落ち込んだ経済の回復傾向が続き、中国地方の対前年の平均変動率は3年連続で上昇、四国地方は32年連続のダウンとなったものの下落幅は縮小した。
県別では岡山、広島が3年連続の上昇、香川は32年連続の下落。最高路線価は岡山、広島、香川ともに上がった。再開発事業などが進み、中心市街地の土地需要が伸びている。
岡山県の路線価は、5727地点の平均変動率が前年比1・7%アップ(前年は1・3%上昇)。上昇地点は岡山、倉敷市の中心部など3252地点だった。全調査地点に占める割合は56・8%で、前年の51・5%から拡大した。
最高路線価は岡山東税務署管内の「岡山市北区本町、市役所筋(東側)」の1平方メートル当たり179万円(前年比9・1%増)で、3年連続で上がった。43年連続の県内トップで、中国5県の税務署別の最高では前年に引き続き3位。対前年の上昇率は全国の県庁所在地で3番目に高かった。
県内13税務署別の最高は、岡山西がイオンモール岡山近くの「岡山市北区下石井1丁目、市役所筋(西側)」で、前年比7・5%増の157万円、倉敷は「倉敷市阿知1丁目、倉敷駅前広場通り」で2・8%増の37万円と、いずれも3年連続のプラスだった。
玉島は「倉敷市新倉敷駅前2丁目、新倉敷駅前通り」で12年ぶりに上がり12万5千円(4・2%増)。
高梁は「高梁市旭町、高梁駅柿木町線通り」で6万円、新見は「新見市高尾、国道180号通り」で4万円と、いずれも前年の下落から横ばいに転じた。津山は「津山市大手町、鶴山通り」(5万8千円)で2年連続の横ばい。下落した税務署はなかった。
18年7月の西日本豪雨で被害を受けた倉敷市真備町地区全域の平均変動率は、前年比0・8%下落(前年は0・6%下落)だった。
県南の不動産鑑定士は「コロナ禍の影響がなくなり、岡山市中心部の再開発やマンション建築の動きが本格化。底堅い土地需要の増加につながり、全体を押し上げた」としている。
財務省岡山財務事務所は6月13日、4~6月期の法人企業景気予測調査(5月15日時点)の結果を発表した。全産業の景況判断指数(BSI)は、前期(1~3月期)から0・8ポイント下降の▲7・5で、2期連続のダウン。原材料費やエネルギーコストの上昇が響き、製造業で大きく低下した。
2期連続の悪化は、新型コロナウイルス禍の影響を受けていた2021年4~6月期以来3年ぶり。ただ次期(7~9月期)は今期より15・0ポイント上昇の7・5を見込んでおり、同事務所は「景気が腰折れしているとは考えていない。価格転嫁も進んでおり、緩やかな回復が続いている」としている。
業種別では、製造業が9・7ポイント下降の▲17・9。生産用機械は海外向けの受注が減少し、繊維工業は原材料価格の上昇が重荷となった。自動車ではダイハツ工業の出荷停止の影響が残っている。一方、金属製品は価格転嫁が進み、景況が上向きとなっている。
非製造業は3・9ポイント上昇の▲1・9。受注の増加や料金改定が進む運輸・郵便、人の流れの回復で客数が伸びている小売りで改善した。建設は4月からの残業規制の導入に伴う「2024年問題」などで人手が減少し、ダメージを受けた。
企業規模別では、大企業(資本金10億円以上)が7・7ポイント上昇の7・7、中堅企業(1億円以上10億円未満)が0・2ポイント下降の▲2・4、中小企業(1千万円以上1億円未満)が3・2ポイント下降の▲13・8。規模が小さくなるほど景況は厳しくなっている。
今回の調査には、今月3日に発覚したトヨタ自動車やマツダなどの認証不正問題の影響は反映されておらず、同事務所は「今後、生産と販売の両面で影響が出てくる可能性がある」としている。
日銀岡山支店は5月20日、最近の管内金融経済月報を発表した。新型コロナウイルスの5類移行後、活発な人の流れが続き、個人消費が伸びていることを背景に、「緩やかな回復を続けている」との判断を19カ月連続で据え置いた。
個人消費は「増加している」との判断を維持した。百貨店では高額品の販売が好調で、気温上昇を受けて夏物衣料も順調に推移。スーパーでは売上高が前年を上回っているものの、円安による輸入食材の価格上昇や節約志向の高まりで、買い控えの動きも出ている。主要観光地では入り込み客数が着実に伸び、ゴールデンウイーク期間中には岡山県外からの観光客やインバウンド(訪日客)が増えた。乗用車販売は一部メーカーの生産停止の影響で足踏み状態が続く。
主要製造業の生産は「持ち直している」との判断を据え置いた。自動車などの輸送用機械や鉄鋼が回復する一方、化学は中国需要の減速を受けて弱めの動き。IT関連製品の在庫調整が進む電気機械は、低水準で推移している。
設備投資は増加。能力増強や省人化に関する投資、物流施設の新設が進んでいる。住宅投資は購入価格の上昇から弱めの動き。公共投資は緩やかに増加している。労働需給は引き締まり傾向が続き、雇用者所得は緩やかに改善している。
同支店の広瀬敬久支店長は、記録的な円安について「輸入価格が大きく上昇すれば、経済活動を下押ししたり物価が極端に上昇したりする可能性がある」と指摘。「為替の動向や中国経済などは不確実性が高く、今まで以上に状況をよく見極めていきたい」と述べた。
【岡山駅東マンション建設】
野村不動産(株)は、JR西日本不動産開発(株)と共に参加組合員として進めている「岡山市駅前町一丁目2番3番4番地区第一種市街地再開発事業」の住宅棟「プラウドタワー岡山」(岡山市北区、総戸数422戸、うち分譲戸数367戸)の概要を発表した。
野村不の新築分譲マンション「プラウド」シリーズでの岡山県初供給で、同県内では最大級のマンションとなる。JR「岡山」駅まで徒歩3分。敷地面積は3,249.22平方メートル、建物は鉄筋コンクリート造地上31階地下2階建て。免震構造を採用。専有面積は44.92~193.87平方メートル、間取りは1LDK~4LDK。販売開始は7月下旬の予定。
エントランスホールは天井高約7.5mの2層吹き抜けの大空間とする計画。ホテルライクな内廊下設計や、各階ゴミ置き場、車寄せなどに加え、共用施設としてスカイラウンジやスタディスペース、ゴルフレンジなどを用意する。
29~31階の上層住戸はプレミアム住戸として有償オーダーメードに対応し、ユーザーが求めるプランニングを提供する。また、リビングダイニングへの天井カセット型エアコンの標準採用やリビング天井高3mなどハイグレードな設備仕様を導入する。一般住戸においてもスケルトンインフィルを採用し、ライフステージ変化や家族の成長などに合わせた間取り可変をしやすい住戸を設定するなど、多様な顧客ニーズを吸収する。
建物は長期優良住宅認定を取得する予定で、断熱性能はZEH基準をさらに上回るUA値0.16~0.47となる。マンション全体で使用するエネルギーについても、実質再生可能エネルギー由来の電気を一括受電するなど環境負荷の低減も図る。同再開発事業は、岡山県の玄関口として「岡山」駅前の都市機能の再整備を行なうもの。「OKAYAMA GATE PLACE」をコンセプトとして、同物件とホテル棟・駐車場棟に加え広場スペースも整備。新たな都市型複合施設を創出することで、周辺の既存施設と一体となって新たなにぎわいを生み出していく。
【岡山市北区中心部再開発事業】
岡山市北区中心部で多くの再開発事業が進められている。今年2月に新岡山市民会館を核にした再開発ビル「ハレミライ千日前」(同市北区表町)が完成した後も6地区で計画されており、中国地方で進行している再開発事業の6割が同市に集中している。市街地のリニューアルで中心部の活性化に期待がかかる一方、建設現場では資材費高騰による影響を懸念する声も出ている。
岡山の玄関口・JR岡山駅の目の前に、約420戸が入る31階の住宅棟や16階のホテル棟が並び立つ―。
岡山駅前商店街(同駅前町)の北側で進められている再開発事業の予想図。2026年の完成に向け、1.4ヘクタールの広大なエリアで建設工事が着々と行われている。
密集していた古い店舗や映画館、住居を更地にし、岡山市のランドマークとなるビルを建てる一大事業。立地の良さを生かし、ホテル棟にはコンベンション施設や商業施設も導入する予定で、再開発組合は「商店街と連携しながら、にぎわい創出に貢献できる施設にしたい」と意気込む。
表町商店街の西側入り口となる旧3丁目劇場(同表町、2013年閉鎖)の一帯で計画されているのは、約200戸の住宅や地域交流サロンなどが入る24階のビル。2027年の完成を目指しており、再開発組合の松井宏倫理事長は「生活する人が増えることで表町に人通りが生まれ、地域全体の活性化につながれば」と期待する。
岡山シンフォニービル(同表町)北側の天神町、岡ビル百貨店のある野田屋町、柳川交差点に面した蕃山町でも事業が進み、7月には桃太郎大通り沿いに新たな再開発組合が発足した。いずれも住宅や店舗、子育て支援施設などが複合したビルの建設を予定する。
同市中心部での再開発事業は、ここ数年で一気に加速した。以前は10年に2件ほどのペースだったが、18年以降、再開発組合が毎年のように設立されている。現在進行している6件の事業数は中国地方(計10件)では山口県3件、広島県1件に比べ、突出して多くなっている。
過半数を占める背景について、同市内の建築関係者は「老朽化した建物を更新するタイミングと、地主の世代交代が重なった。郊外に出た住民の都心回帰の動きも後押しになっている」とみる。
一方、事業推進の重荷になっているのは資材費や労務費の高騰だ。再開発事業の主な収入源は、住宅などの売却費と行政からの補助金のみ。設計や建設工事といった事業費全体を賄わなければならず、工事費が膨らめば収支バランスが崩れてしまう。
完成した「ハレミライ千日前」では、物価高騰を受け、国から追加で約6億円の補助金が出たため事業に支障は来さなかったが、事業計画やスケジュールの見直しを余儀なくされた再開発組合もある。
表町で再開発を進める松井理事長は「建設コストの効率化を建設業者に求めながら、質を下げずに付加価値の高い施設を目指したい」と話している。
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