日本の不動産・景気動向・税制
(公社)全国宅地建物取引業協会連合会は5月1日、「不動産価格と不動産取引に関する調査報告書(第37回
不動産市況DI調査)」を発表した。
3ヵ月前と比較した現状と、3ヵ月後の見通しについて不動産価格・取引の動向を調査し、指数(DI)化した。DIは「横ばい」回答をゼロとして、「大きく上昇」「やや上昇」「やや下落」「大きく下落」のそれぞれの回答比率から、四半期ごとに算出している。調査期間は4月4~21日で、有効回答数は240。
土地価格動向DIは、全国で7.3(前回調査比0.8ポイント低下)。17期連続でDIはプラスとなった。
地域別では、北海道・東北・甲信越が-3.6(同8.4ポイント低下)、関東が10.4(同1.4ポイント低下)、中部が8.6(同0.4ポイント低下)、近畿が15.9(同4.5ポイント上昇)、中国・四国が-3.6(同3.3ポイント上昇)、
九州・沖縄が5.2(同3.1ポイント低下)。
3ヵ月後のDI値は、全国では-5.2と予測。北海道・東北・甲信越では-7.1、関東は-4.9、中部は-8.6、
近畿は0.0、中国・四国は-8.9、九州・沖縄は-5.2と慎重な見方が広がっている。
最近の不動産市況の特徴的な動きについて聞いたところ、「米国の関税措置により、土地や建物の値付けなどが慎重になっている傾向がある」(東京都)、「土地値、建築費、金利上昇により、消費者は相当な買い控えをしている状況。関税引き上げなどのトランプショックの影響がさらに出ないことを祈り、さらなる景気浮揚策を強く要望する」(兵庫県)など、米国の関税措置の影響に関するコメントが目立った。
国土交通省は4月30日、2024年度および25年3月の建築着工統計調査を発表した。
24年度の新設住宅着工戸数は81万6,018戸(前年度比2.0%増)だった。
新設住宅着工面積も6,283万平方メートル(同1.0%増)と、いずれも3年ぶりの増加となった。
利用関係別では、持家が22万3,079戸(同1.6%増)と3年ぶりに増加。
貸家は35万6,893戸(同4.8%増)も増加した。分譲住宅は22万9,440戸(同2.4%減)と2年連続の減少。
そのうち、マンションは10万5,227戸(同5.0%増)と前年度の減少から再び増加に転じた。
一戸建て住宅は12万2,319戸(同8.5%減)と2年連続の減少となった。
三大都市圏別では、首都圏が総戸数29万1,316戸(同1.6%増)。
内訳は持ち家4万6,480戸(同0.8%減)、貸家13万5,162戸(同3.3%増)、分譲10万8,296戸(同0.2%増)。中部圏は総戸数9万1,750戸(同2.7%減)。内訳は持ち家3万4,035戸(同2.6%増)、貸家3万1,783戸(同4.1%減)、分譲2万4,554戸(同11.1%減)。
近畿圏は総戸数13万8,306戸(同8.6%増)。内訳は持家2万9,647戸(同2.8%増)、貸家6万6,214戸(同14.4%増)、分譲4万1,907戸(同5.6%増)だった。
25年3月の新設住宅着工戸数は8万9,432戸(前年同月比39.1%増)。
新設着工床面積は682万7,000平方メートル(同40.7%増)と、いずれも2ヵ月連続の増加となった。
季節調整済年率換算値は108万戸(前月比34.1%増)と、2ヵ月連続で増加した。
利用関係別では、持家は2万2,867戸(前年同月比37.4%増)と3ヵ月ぶりに増加した。
貸家は4万2,525戸(同50.6%増)と大幅に増加。
分譲住宅は2万3,571戸(同22.8%増)と2ヵ月連続の増加。
うち、マンションは1万807戸(同20.4%増)と3ヵ月連続の増加。
一戸建て住宅は1万2,472戸(同23.3%増)と29ヵ月ぶりの増加となった。
(独)住宅金融支援機構は5月1日、取扱金融機関が提供する「フラット35」(買取型)の2025年5月の
適用金利を発表した。
融資率9割以下・借入期間21年以上の金利は、年1.820%(同0.120%減少)~3.860%(同0.070%減少)。
取扱金融機関が提供する最も多い金利(最頻金利)は年1.820%(同0.120%減少)。
融資率9割以下・借入期間20年以下の金利は年1.430%(同0.120%減少)~3.470%(同0.070%減少)。
最頻金利は1.430%(同0.120%減少)と、低下したのは2024年9月以来8ヵ月ぶり。
(一財)日本不動産研究所は4月1日、「不動産取引市場調査」(2024下期)の結果を公表した。
同研究所は、JREITや東京証券取引所、日経不動産マーケット情報などの公表事例等を独自に集計。
01年上期以降、約3万8,000件の取引事例を収集してデータベース化している。
24年下期の不動産取引市場の規模は約3兆2,000億円と、下期の中では最高額となった。
市場規模は07年上期に約3兆1,000億円に至ったが、リーマンショックが生じた08年下期には約1兆円程度にまで縮小。13年上期の金融緩和政策開始以降は大幅に取引が増加し、おおむね2兆円超えの状態を維持した。22年上期に約3兆円に達したものの、その後は金利上昇への警戒感などから取引量が減少。
24年上期には約3兆9,000億円と、過去最高額を更新した。
アセットの構成は、オフィスの割合が高水準を維持。また、取引が増加したことから、ホテルの割合が調査開始以来最高割合を記録した。
取引主体については、21年まではJREITが一貫して買い越しを維持し、JREITへの物件集約が進んだ。
しかし、22年にはインベスコオフィスジェイリート投資法人の物件売却やJREITの取得金額の減少などにより、買い越しが減少。
SPC・AM(私募ファンド等)の買い越しが大幅に増加し、市場の私募化が進む動きも見られた。
23年に入ると、外資系プレイヤーの取得減少などでSPC・AMは売り越しに転じたが、JREITの買い越しは大幅に回復。前期(24年上期)・今期ともJREITの買い越しが続いている一方で、私募REITの買い越し額がJ-REITを上回った。
外資系ファンドを中心にSPC・AMも買い越しに転じ、一般事業法人も売り買いがほぼ拮抗している。
外資系プレイヤーの取得金額は、22年上期に過去最高額となる約1兆円となった後、金利上昇の警戒感や海外不動産市場の悪化等から取得量が減少。23年下期の取得金額は約3,400億円にとどまり、4年ぶりに売り越しへと転じた。24年上期も売り越しが続いたが、今期は外資系ファンドによる大型取引が相次ぎ、取得金額・買い越し額とも過去最高額を更新した。
国土交通省は3月18日、令和7年地価公示を発表した。
全国26,000地点を対象に同年1月1日時点の価格を調査した結果、全国平均では、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも4年連続で上昇し、上昇率が拡大した。
景気が緩やかに回復する中、地域や用途により差があるものの、三大都市圏では上昇幅が拡大し、地方圏でも上昇傾向が継続するなど、全体として上昇基調が続いている。
地価変動率(全国平均)は、全用途平均2.7%上昇(前年:2.3%上昇)。住宅地は2.1%上昇(同:2.0%上昇)、商業地は3.9%上昇(同3.1%上昇)。
三大都市圏については、全用途平均4.3%上昇(同:3.5%上昇)、住宅地3.3%上昇(同:2.8%上昇)、商業地7.1%上昇(同:5.2%上昇)と、いずれも4年連続の上昇かつ上昇幅が拡大。東京圏は全用途平均5.2%上昇(同:4.0%上昇)、住宅地4.2%上昇(同:3.4%上昇)、商業地8.2%上昇(同:5.6%上昇)。大阪圏は全用途平均3.3%上昇(同2.4%上昇)、住宅地2.1%上昇(同:1.5%上昇)、商業地6.7%上昇(同:5.1%上昇)で、東京圏・大阪圏は上昇幅の拡大傾向が継続。
名古屋圏は全用途平均2.8%上昇(同:3.3%上昇)、住宅地2.3%上昇(同:2.8%上昇)、商業地3.8%上昇(同:4.3%上昇)と、上昇幅がやや縮小した。
地方圏は、全用途平均1.3%上昇(同:1.3%上昇)、住宅地1.0%上昇(同:1.2%上昇)、商業地1.6%上昇(同:1.5%上昇)といずれも4年連続で上昇。地方四市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)は上昇幅がやや縮小も、その他地域ではおおむね拡大傾向が続いている。
都道府県別で変動率がプラスとなったのは、住宅地30、商業地34(同:住宅地29、商業地29)。変動率トップは、住宅地は昨年に引き続き北海道富良野市北の峰町4777番33で31.3%上昇。
商業地は千歳市幸町3丁目19番2で48.8%上昇。
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